広島高等裁判所 平成3年(ネ)75号 判決 1991年6月27日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴人訴訟代理人は「原判決を取消す。被控訴人らは控訴人に対し、合同して三一八万二〇七二円及びこれに対する平成二年九月二日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求めた。
被告訴人島田四郎は当審第一回口頭弁論期日に出頭しないが、その提出した答弁書には「本件控訴を棄却する。」との判決を求める旨の記載があるので、これを陳述したものと看做す。
被控訴人西川洋志は主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張は、次のとおり改めるほかは原判決事実摘示のとおりであり、証拠関係は原審記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。
原判決二枚目表末行から同裏一行目にかけての「振出人である分離前の相被告株式会社独活腕建築事務所に」を「裏書人である被控訴人らに」に改める。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求は、理由がなくこれを棄却すべきものと判断するものであって、その理由は、次のとおり改めるほかは原判決説示のとおりであるから、これを引用する。
原判決三枚目表五行目の「負担しているものであるから」の次に「、支払場所において手形の呈示をしないでも」を加え、同九行目の次に改行のうえ「控訴人は、約束手形についても、満期前に振出人の信用が失墜して満期における支払を受けられない虞れが生じたときには、満期前の遡求も許されるところ、約束手形の所持人が訴えをもって遡求義務者に対し約束手形金の支払を求める場合には、遡求要件としての支払場所における支払のための呈示は不必要である旨主張する。なるほど約束手形についても、振出人が破産に陥り、支払を停止し、又はその財産に対する強制執行が効を奏しなかった等の場合(手形法四三条二号参照)には、満期前の遡求も許されると解すべきことは控訴人主張のとおりであるが、その場合であっても、振出人の破産の場合(同法四四条六項)を除いては、事実の確認が難かしいので、支払の呈示をなし、拒絶証書の作成をしてからでないと遡求することができないことは裁判上の請求をもって遡求する場合でも例外ではないものと解される(同条五項参照)。」を加え、同一〇行目の「呈示期間内に」を削る。
二 よって控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。